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2018年4月15日 (日)

落語と酒に酔いしれて 2018その3 桂小南ひとり舞台(4/15 仙台花座)

最近、東北の落語で話題の中心になっているのが東北初の定席、花座だ。
これまで落語芸術協会の噺家が月一で仙台に来て行われた「仙台魅知国寄席」が発展解消して、毎日落語・講談・漫才が催される花座がオープンした。寄席形式は月五日を二回。その他は落語の独演会やお笑いのステージになる。
こちらが花座のHP。トップの動画には席亭の白津さんや芸協幹部のインタビューが。
つhttps://hanaza.jp/
こちらが会場。1F左側はラーメン屋。
(右手側にも出入り口がある)
(商店街の通りには歌丸師、小遊三師、遊花さんの似顔絵が目立つ)
で、今回は私の好きな桂小南師匠の独演会があるので、チケットを電話予約して現場へ乗り込んだというわけだ。
今回は4/14(土)と4/15(日)に二回づつ計四回公演。4/14は仕事だったので行けなかったが、4/15はどうせ仙台まで行くなら一部、二部ともに聴いてしまえ、と青葉山公園から飛び降りたような心持ち。各会2000円という、師匠の香盤から考えたら超破格値。まぁ、他の噺家さんでも寄席形式でも同じ価格なんだけどね。
1F受付でチケットを購入。アルコールを含めドリンクや花座オリジナルの手拭い、扇子も販売。チケットをもぎってもらい靴を脱いで2Fへ。
会場はすべて椅子席。前2列は座高が低くなっている。全部で50席弱くらいか。上野広小路亭をさらにコンパクトにした感じ。
何より、高座と客席がとにかく近い!そしてマイク無しの肉声が堪能できる!
仲入りでは席亭自らSNSで拡散してほしい、と高座を解説。
高座の右手側には太鼓もあり、前座さんが窓を開けて一番太鼓を叩く。
まずは第一部。入りは6割ほどか。開口一番は前座の桂伸しんさん。
来年2月には二ツ目になる見込みらしく、嬉しそうに話していた。30半ばで職を辞めての覚悟の入門だったそうで、辞める間際の先輩とのやりとりをマクラに振って、始まりましたは『古着買い』。いざ噺が始まってメガネを外すと若いころの鯉昇師をふっくらとさせたみたい。落研出身ではないものの落語が好きで好きで仕方ないのが伝わってくる。甚兵衛さんの間抜けさと古着屋の番頭が手のひら返した客あしらいが見事。半面、熊さんの啖呵が上っつべりな感じ。初めて聴いたこのネタは『大工調べ』の要素が強い。啖呵が腹に入った言い回しになると他のネタを覚えるときに有意義かと。
続いては本日のお目当て、小南師匠が高座へ。
仙台はいけない街だよ、まだ昨夜の酒が・・・と言いながら喉の調子のお詫びでマクラが始まる。
春日部出身の師匠、もはや春日部と言えばクレヨンしんちゃんだが、三代目小南襲名を市長に報告に入ったら「春日部市にしんちゃんだけでなくコナンくんも来てくれました!」だってw若いお客さんには反応抜群の話題でひと笑い。春日部から見る東京の位置づけに触れ、子供時分東京から来た女の子の転校生のマクラを振って、始まりましたは『写真の仇討ち』。これもお初のネタ。構成は『厩火事』のような。ネタに入ると師匠の声が小屋中にビンビンと響く響く!!次第に噺に引き込まれていく。芸者に入れあげてすってんてんになった男が、恨み晴らさでおくべきか、と懐から短刀を取り出すところは緊張感が漂っていた。普段の師の独特の口調とにこやかな素振りが、その落差に拍車をかける。
仲入りの後は、先代小南に弟子入りしてまず始めにさせられたのが掃除。なんでこれが落語に関係あるのか、と思っていたが結婚してようやくわかった、師匠のおかみさんにはまるかはまらないかは天地の差、というマクラを振って『甲府ぃ』。ともすれば初めから終わりまでタレをかけないところてんのような噺になりがちだが、小南師匠のフラがこのネタにはよく合う。辛子醤油にひと手間加えたところてんを啜るように、所々のクスグリが楽しい、なおかつクドすぎない小南流のこのネタ。特に豆腐屋の旦那とおかみさんのやり取りでもってたっぷり笑った一席で第一部の幕。
せっかく仙台まで来たので昼は牛タンとか、洒落たものを・・・と思ったが、どこも込み合って座れない。仕方なく空いていた立ち食いそばに入ると、次から次へと客足が。「うは、俺って仙台四郎じゃねw」って、んなわけない。同じ考えの空腹を満たそうという輩がたまたま集っただけなのだ。
第二部も同じ顔付け。今度はほぼ満席。開口一番は伸しんさん。マクラは同じ。ネタは『旅行日記』。
昔泊まった思い出の宿、ご馳走になった鶏三昧、そして豚三昧の楽屋話とは・・・という内容。サゲがちょっとシュールな気配のネタで高座返し。
さて、小南師匠。喉の調子と同じくらいにかけるネタに困っているという。昨日今日と来た客もいれば、今日の一部二部と来た客もいるという・・・後半は何を隠そう私のことだ。第一部の仲入りで小南師の三代目襲名披露DVDを買ったのだが、終演後サインをしてもらった。その際に「第二部も楽しみにしてますので」と言ったのだが、早速ネタにしてくれたようで。誰にでも癖があるという話から、そのうち「♪鍵屋と鍵屋が喧嘩して〜」の仕草やインチキ奇術のマクラを振って『片棒』へ。三男の名前が銅蔵ってのは良いやね。この噺の聴きどころはやはり次男坊とのやり取りだが、やはり小南師匠の木遣りも良い。端正な、とは毛色は違うが、やはり聴いていて楽しい。
仲入りの後は「私この後末廣亭に行かなきゃならないのよ。一日五席は辛いよ〜」とボヤきながら始まりましたは『ハワイの雪』。買ったDVDに収録されてるんだけどね。第一部の仲入りでは四枚売れたから違うネタにした(本人談)けど、第二部の仲入りでは全く売れなかったようで。違うネタを聴きたかったというのは偽らざる本音だが、このネタと小南師匠の口調も合う。強いて言えば爺さん同士の腕相撲でどちらが勝ったか分かりにくいところがネックか。作者でもある喬太郎師の場合、人物の演じ分けがはっきりしているのでこういうことはあまりない。クライマックスでは三味が入ってほどなく終演。楽しい一日だった。
さて、花座そのものの感想。
エントランス、小上がり、階段すべてが狭いので終演後はとにかく込み合う。特に階段は急なので、帰りは注意。スタッフも席亭を入れて三人。前座さんは高座に張り付けで仕方ないが、カウンターは二人体制にしてチケットの予約確認や金銭授受をスムーズにした方が良いのでは。扇子や手拭いなどもカウンターに揃えた方がついで買いしやすい。
あと、とにかく椅子が硬い!特に前二列の座高の低い椅子は体重移動がしづらく、尻が痛くなる。薄いクッションやタオルを持って行った方が良い。
文句ばかりになったが、演者、スタッフ、お客さんの三位一体でこの花座を盛り上げようという意識は高い。実は第一部では酔客が周りの客にも高座にもやたらと話しかけるという、以前鈴本で遭遇したようなアゲインストで、このキャパで大声でやられると辟易せざるを得ない。ただ、そこは客の暗黙の了解で、高座に集中することで招かれざる客を無かったことにしてしまおうという無言の団結力が働いた。第二部ではすっかり疲れて、笑いの量は少なめだったが・・・ともあれ、これからもお邪魔しますので頑張ってください!
(練習用の扇子にもサインを頂く。末廣亭の扇子を忘れるあたりが実にマヌケだ)

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